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【海外研修】2015年度 スウェーデン研修を実施しました!

 

事前学習

 福祉総合学部・福祉総合研究科の学生11名が,スウェーデン研修を履修しました。
 出発前の事前学習では,英語学習のほかに以下の特別講義を受け,準備は万全です。

日程特別講義担当者
10/15(木)スウェーデンの福祉の歴史増子勝義先生
10/22(木)スウェーデンの教育,福祉,生活についてトゥンマン武井典子先生
10/23(金)アストリッド・リンドグレーンと子どもの権利佐野智子先生
11/4(水)スウェーデンの文化,教育,福祉政策アダム・ベイェ氏

スウェーデン大使館で講義を受ける直前の学生たち
かなり緊張しています

スウェーデン大使館でベイェ氏にご講演いただきました。スライドには日本語の記述もありましたが,講義はもちろんすべて英語で行われました。

2015年11月9日(月)出発!

 大学院生3名,学部生8名がいよいよスウェーデン研修に出発しました!
 今回が初めてのスウェーデン研修ということで,期待と不安を胸に出発しました。

出発直前の出立式

 ヘルシンキで乗り継ぎをして,予定時刻より少し早めにストックホルムに到着をしました。

ストックホルムの空港に到着して

早速,バゲージクレームのところに車椅子マークを発見!
これからの研修に期待が高まります!

2015年11月10日(火)

1.ISDP(Institute for Security& Development)にてスウェーデンの福祉政策の変遷を学びました

 ヴァリエ前スウェーデン大使に,「スウェーデンの福祉政策の変遷および現在の福祉の問題」について,具体的な事例を含めてご講義いただきました。スウェーデンの福祉は完成形ではなく,常に変化しています。その背景には合理的思考力や判断力を有する国民性がありました。

ヴァリエ前大使の講義

真剣にお話しに聞き入る学生たち

2.Nacka コミューンにて

 Nackaという自治体で,ソーシャル・サービスに関する講義を受けました。自治体の役割は,子どものケアや保育園,初等中等教育,高齢者や障害者のケア,社会保障(Social service),水の供給,インフラ整備,都市計画と環境問題などがありますが,自治体の予算の50%以上が子どものケアについて使われています。自治体が行うソーシャル・サービスのうち,特に成人,子どもと若い成人における福祉サービスの流れについて学びました。また,LSSについて説明を受け,特定の機能障害をもつ障害者が受けられる福祉サービスについて学びました。

日本の国旗を掲げ歓迎して下さいました。

Mats Gerdau市長

講師をしてくださった市役所のスタッフのみなさん

フィーカを頂きながらメモをとる学生たち

3.シルビア・ホームにて 認知症高齢者の理解とその対応を学びました

 シルビア・ホーム設立の背景およびシルビア・ホームのケア哲学に関する講義を受けました。認知症高齢者のQOLを維持するために,本人,ケアチーム,家族が協力し,ケア哲学に則ったケアの実践をしています。そのためには認知症と対応に関する知識が必要であり,研究や毎日の活動の振り返りを怠りません。

 認知症高齢者がQOLを維持できるようにするための,エビデンスに基づいた高齢者の自立を助けるさまざまな工夫を視察しました。これらの工夫は,家族にも情報提供されています。

戸棚の中身を写真に撮り,貼っておく

安心感が得られるソファ

洗面所の鏡は布でカバーされています
理由がわかりますか?

容易に身体の向きを変えられるターンテーブル

2015年11月11日(水)

4.Rehab Station Stockholmにて 脊椎損傷者のティームケアを学びました

 Rehab Stationでは講義を受け,施設を見学した後,車椅子バスケットボールの体験をさせていただきました。

<基本理念>
1日24時間,日常生活動作がすべてトレーニング
・Competence:調査や研究によって,知識を増やしています。カロリンスカ研究所と共同研究プロジェクトを進めています
・Role Model:スタッフも障害者がいるため,よいロールモデルとなっています
・Environment:良くなるためには環境も重要
<基本方針>
・どんなに重い障害であっても,できることはあると考え,本人にゴールを確認し,そのゴールに向けて,PT,OT,ST,心理士などの複数の専門職がチームでケアを行います。
・できることを増やし,社会への参加を目指します。
・各専門職者間のコミュニケーションを円滑にするため,定期的なミーティングの他に,日常的な情報交換を行っています。

講義を受ける学生たち

車椅子バスケットボールの選手の指導を受ける学生たち

5.Vallentuna市の保育所にて保育方針と保育環境について学びました

 スウェーデンでは,保育所からインクルーシブな保育(教育)が行われています。保育所の頃から,子どもたちは自分で考え,自分で判断することで,自尊心を育んでいきます。それを達成できるように保育環境を整えています。

子どもたちが歌で歓迎

小さいうちから自分で考え自分で判断することを身に付けます

広い園庭
スウェーデンの子どもたちはどんな天候でも元気に外で遊びます

6.Vallentunaの教会で,文化と歴史を学ぶ

 Vallentunaの古い教会を視察しました。何百年も前の文化がそのまま残されていることに感激しました。

教会の入口で記念撮影

教会の前でも懸命にメモをとりました

ルーン文字の刻まれた石

教会の夕日は最高に美しかったです

7.Vallentunaの図書館視察

 創設3年の新しい図書館ですが,建築賞および図書館ランキングで表彰されたそうです。グローバルな図書館で,1階には児童書コーナーがあり,妊婦から「読み聞かせ」教育を行っています。さまざまな文化教育活動も行っています。

図書館の説明を受ける学生

子ども図書のコーナー

本の展示も工夫されていました

2015年11月12日(木)

8.G2 Gustavsbergs Upper School にて インクルーシブな教育と特別支援教育を学びました

 ギムナジウム(高校)でスウェーデンの教育システムの概要に関する講義を受けました。高校には,就業訓練プログラム,進学プログラム,補習プログラムがあります。すべての子どもたちに教育を受ける権利があり,スウェーデンでは子どもの適応が悪い場合は教育の方法が悪いと考え,異なる教育方法を実施しています。特別なニーズのある発達障害の子どもたちには,スタジオと呼ばれる机が一人ずつ衝立で区切られている場所で週2回指導を行っていました。本人の希望があれば,毎日スタジオに通えます。発達障害の子どもたちにとって,安心出来る場所であり,専門の教師とコミュニケーションの出来る場所であり,勉強の仕方を学ぶ場になっています。

Ms. Olofssonによる説明

一言も漏らすまいと必死です

職業訓練(美容師)用の教室

9.女性と子どものためのシェルターにて 暴力が女性や子どもたちに与える心理的影響と彼らに対する支援について学びました

 シェルターで講義を受けました。暴力を受けたり,暴力を目撃したりすることで,女性や子どもたちは身体的・心理的影響を受けます。なかでも目に見えない心理的ダメージによる影響は大きいです。自尊心が小さなかけらほどになってしまっているため,それを大切に育てていきます。自分の感情を理解できなくなっているため,自分の感情をそのまま感じられるように,そしてその感情の表現の仕方を学習させていきます。受講後,日本において自分たち一人ひとりがどのように支援できるかを考察しました。

シェルターの一室で講義を受ける

2015年11月13日(金)

10.アストリッド・リンドグレーン記念小児病院にて 子どもの健康問題および,子どもたちの治療に対する恐怖を軽減するための取り組みを学びました

 エビデンスに基づき,新生児のいる家庭に看護師とソーシャルワーカーで定期的に家庭訪問をする新しい試みをしており,効果がでているそうです。医療と福祉の連携について考えさせられました。治療を受ける前に子どもたちは恐怖を感じていることが多いため,治療に使う道具と同じものを使って,プレイセラピーを行うことで,恐怖は解消され,治療へのモチベーションが向上するそうです。

Dr. Svante Norgrenによる講義

本物そっくりの場所で本物そっくりの道具を用いて行われるプレイ・セラピーによって,子どもたちは治療に対する恐怖をやわらげることができます

ピッピに登場する牛もいました!

11.ストックホルム市庁舎 視察

 ノーベル賞の授賞式が行われる市庁舎を視察しました。ちょうど授賞式の準備が行われていました。

ここがBlue Hall。12月10日(ノーベルの命日)にここで晩餐会が行われます

舞踏会の会場で記念撮影

12.ストックホルム商科大学にて ジェンダーの視点から福祉を考える

 ストックホルム商科大学にて日本人研究者の佐藤吉宗先生が,ジェンダーの視点から福祉に関してご講演くださいました。スウェーデンは公正や社会正義、民主主義という観点からの男女平等を目指しており,育児と仕事の両立の根幹は充実した育児休暇保険のはずでしたが,実際には父親の育児休暇取得はまだ少ないのが現状です。父親にとって育児への参加はこれまでは「オプション」。しかし,母親にとっては育児は「オプション」ではなく,放棄する訳にはいきません。したがって,今後は男性の「家庭進出」が必要になってきます。

ストックホルム商科大学のMarie Soderberg先生とご一緒に

2015年11月14日(土)

13.ウプサラ大学図書館を視察

 500年の歴史のある大学の図書館で,学生たちが普段利用している図書館環境を視察しました。1500年代からの古い資料が収められている特別室をみせていただきました。リンネやツンベリーの書籍など,大変貴重な書物を拝見しました。

歴史を感じさせるとってもすてきな図書館でした!

2015年11月16日(月)

 無事,日本に帰国。今回の研修では,福祉の技術面だけでなく,福祉の根幹にある人権意識や福祉哲学まで学ぶことができました。研修を受けていく中で,自分が持っている「偏見」に気づいたり,新たな福祉分野に興味を持つことができたり,福祉と医療の連携の必要性を実感したりと,得るものが多い研修でした。これからの事後研修で学んだことを考察し,今後,さまざまな機会に研修成果を発表していきます。ご期待ください。

もうすぐ帰国。たくさんの収穫がありました!


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